うらしまたろう むかしむかし、ある海べの村に、うらしまたろうというわかものがいました。うらしまたろうはまいにち海で魚をつって、お母さんとのくらしをたてていました。 ある日のつりのかえり道、三びきしか魚がつれなくて気のおもいうらしまたろうは、はまべでさわいでいる子どもたちを見かけました。なにをさわいでいるのかと、うらしまたろうは見に行きました。子どもたちはかめをつかまえていじめていました。 うらしまたろうは子どもたちに、どうぶつをいじめてはいけないと言いました。が、子どもたちはけらけらわらって聞きません。うらしまたろうはこの日とった魚を子どもたちにあげて、かわりにかめをはなしてもらいました。そしてうらしまたろうはかわいそうなかめを海ににがしてやりました。たすけられたかめは海をおよいで行きながら、なんどもうしろをふりかえっていました。 なんにちかたって、うらしまたろうが海で魚をつっていると、きゅうに大きなかめがすがたをあらわしました。おどろいたうらしまたろうにかめは言いました「このあいだはうちのかめをたすけていただきありがとうございます。おれいにりゅうぐうじょうにおつれします。どうぞわたしのせなかにおのりください。」 うらしまたろうはかめのこうらにのって、海のそこへもぐって行きました。 かめはどんどん海のそこをおよいで行きます。うらしまたろうは海の中のきれいな魚とかいそうを見ていました。りゅうぐうじょうにつきました。そこは見たこともないほどうつくしいところでした。とてもきれいなおとひめさまがやってきて、「あの時はかめのすがたをして、外のせかいを見に行ったのです。私をたすけてくださいまして、ありがとうございました。」と言いました。 おとひめさまはりゅうぐうじょうをあんないし、うらしまたろうをりゅう王さまに会わせました。りゅう王さまはたいへんなごちそうでうらしまたろうをもてなしました。 りゅうぐうじょうで、うらしまたろうは楽しくくらしていました。自分のふるさともお母さんのこともわすれて、海のそこで楽しくしあわせにすごしていました。 ゆめのように、三年がたちました。ある日、おとひめさまはうらしまたろうをあるへやにつれて行きました。今まで行ったことのないへやです。そのへやのまどからはりくのせかいが見えました。自分のふるさとのけしきを見ると、うらしまたろうはきゅうにお母さんのことを思い出し、家にかえってお母さんに会いたくなりました。おとひめさまはうらしまたろうをかえしたくなかったのですが、しかたなく、うらしまたろうにきれいな箱をひとつあげて、こう言いました「こまった時はこのたまてばこをあけてください。その時いがいはぜったいにあけてはいけません。」 うらしまたろうはおみやげを持って、かめのせなかにのり、海べの村にかえって行きました。 うらしまたろうはすぐ家にかえろうと思いました。でも、村をあるいていると、なにかふしぎなかんじがします。村のようすがなんとなくかわったみたいで、村の人も知らない人ばかりでした。家があるはずの所に行ってみると、家はかげもかたちもありません。村の人にたずねても、だれもうらしまたろうの家を知りません。さいごに村いちばんの年よりに聞いてみると、 「うらしまたろうというと、海に行ったままもどらなかったわかもののことかね。それは三百年も昔の話だよ。」とそのおじいさんは言いました。 りゅうぐうじょうですごした三年がじつは三百年だったと、うらしまたろうはわかってきました。死んだお母さんのおはかをさがしたら、自分のおはかも見つかりました。もうお母さんに会えないと思うと、とてもかなしくなりました。とほうにくれたうらしまたろうはおとひめさまのことばを思い出し、もらったたまてばこのふたをあけました。 たまてばこからもくもくとけむりが出て、うらしまたろうの体をつつみました。すると、うらしまたろうはいっしゅんのうちにおじいさんになってしまいました。おじいさんになったうらしまたろうの体は、こんどはつるのすがたになり、空へとんで行ってしまいました。海の上でつるはりゅうぐうじょうのかめに会いました。それを見ていたはまべの人びとは「つるは千年、かめ万年」とうたいました。